遭難

ある施設で友達と待ち合わせしていたのだけど、初めて行く所だったので余裕を持って家を出た。近くの施設で目的地の場所を聞くと、目の前の丘の上にありここから徒歩3分で行けると案内された。その建物はしっかりと確認でき、後はそこに向かって歩くだけ!!のはずが、その道は遠回りで3分で行けそうにないし、子供2人連れて行くにはしんどいと思っていたら、数名の大人が少し細い道だけど近道と思われる道を進んで行ったので私達も後を追った。ここが間違いの元だった・・・。急がば回れって正にこうゆう事なんだなと思った。道はどんどん細くなり、おまけにかなりの上り坂。そして気が付けば前にいたはずの人を見失い、自分1人で歩くことさえ困難な雪道になり、重たいバックとチビちゃんを抱っこし、坊ちゃんの手を握り、最終的には雪深くて歩けなくなった坊ちゃんを引きずる形でなんとか到着。もちろん、坊ちゃんはこけるし、手は冷たくて痛いしで大泣き。それでもとにかくこの雪の中から脱出するためには、泣こうが騒ごうが2人の子供達を必死で運んだ。それなのに、着いたのは裏口で鍵が閉まってるし、中から開けてもらおうにも誰もいないし、表に回ろうと思っても除雪されていないので行けないし、死に物狂いでここまで2人を連れてきたというのにまたこの道を引き返すのか??すぐそこに正面玄関が見えているのに・・・大量に積もった雪のせいで前に進めないなんて・・・すぐそこにあるのに、ほんの数十メートルがこんなに遠いと思ったのはこれが初めてかもしれない。そして私にはもぅこの2人を連れて元着た道を戻る体力はない。完全に雪の中で孤立してしまった。あぁ遭難ってこんな感じなのかな〜と思った。もちろんこの時も子供達は大泣き。よほど寒かったんだろう。氷点下15度、トロトロしていると凍えると思い、頑張って戻る事にした。まずはチビちゃんをある地点まで運び、また戻って今度は坊ちゃんを運び、無事広い道に出たところで、心配した友達が迎えに来てくれた。天使のようだった。
やっと建物に入った時には坊ちゃんの手が冷たくて2倍ほどに膨れ上がっていた。そういえば「手が痛い」と泣いていたけど、チビちゃんを抱っこしていたので坊ちゃんと手を繋いであげる事しかできなかったし、まずこの雪の中から脱出して暖かい建物の中に入れば何とかなると思って「それまでの辛抱だから、手をグーに握りしめておくように」としか言ってなかった。私も必死だったのだ!!建物の中に入ると坊ちゃんは靴下も脱ぎ元気に遊んでいたので安心したけど、1時間くらい手は膨れていた。
家に帰って、パパに全てを話すと大きなため息をつかれた。確かにごもっともだと思う。近道をしたせいで、子供達をこんな目にあわしてしまって・・・。坊ちゃんは「こけた、寒かった。鍵、閉まってた。何で?」と何回も言っていた。
寝る前に、坊ちゃんに「手、冷たかった??ごめんなぁ。ママ、道がわからへんかったんや。寒かったよな〜。ママも必死やったんや。ごめんな〜。」と謝ったら、坊ちゃんは「もぅ手、痛くない。大丈夫。ごめんじゃない。(ごめんって謝らなくてもいいょという意味かな?)」と言った。そして許してくれるかと聞いたら「うん」と元気よく答えてくれて、私をギューっと抱きしめてくれた。そして坊ちゃんの手を握ると暖かくて小さくて、この可愛い手を私はあんなに膨れ上がらせてしまったのかと思うと胸が痛かった。
雪山は恐ろしいとよく言うけど、山に限らず、雪とこの寒さは本当に恐ろしい。
思い返せば、私は今回のような過ちを何度もしているような気がする。もっと冷静に判断して第一に子供の事を考えるようにしなければ・・・。深く深く反省した。